コロナ禍でテレワークが必要不可欠の時代になってしまいましたが、押印文化の根強い日本で便利なのが「電子印鑑」です。 書類を作って印刷して押印、それをスキャナーで読み込んでPDFで送信なんてしてませんか? 電子印鑑はEXCELで十分かんたんにできちゃいますよ! 作成する手順や押印する時の注意点などもご紹介します。
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電子押印をするには、電子印鑑などの印影が必要になります。
フリーソフトで電子印鑑を作成したり、名前だけ入れたら電子印鑑が作成できるサイトなどもありますが、今回はそういうフリーソフトやサイトを使わずに「EXCEL」とWindows標準の「ペイント」だけを使った印影の作成方法、それと活用方法についてご紹介します。
目次
なぜEXCELで電子印鑑を作成するのか?
電子印鑑(印影)を使って電子押印するには、「.png」などの透過画像でなければなりません。
この透過画像を作る為に色んなサイトで「フリーウェア(無料のソフトウェア)」を紹介したりしています。
でも・・・
フリーソフトは、ダウンロードしてインストールする時に、悪意のあるソフトウェアが一緒にインストールされてしまう場合もありますので、信頼できるサイトでないと、危険がいっぱいです。
それに使いこなせない人も多いですよね^^;
私もフリーソフトを入手して使う事がありますが、以前超有名なサイトからダウンロードしてウィルスに感染してしまった事がありますので、細心の注意を払ってます。
その点「EXCEL」や Windows 標準の「ペイント」なら安心ですよね?
なので、今回は「EXCEL」と「ペイント」のみ使った印影の作成方法をご紹介します。
EXCELで電子印鑑を作成する方法
EXCELで電子印鑑を作成するには、2通りのやり方があります。
- EXCELの図形とテキストで印影を作成
- 実際の印鑑を取り込む
それぞれ手順を書いていきますね。
EXCELの図形とテキストで印影を作成
上の画像の通り、EXCELでそこそこ立派な印影を作れますので、作り方の手順をご説明します。
1.印影の枠を作る
図形(楕円)を挿入して、「図形の書式設定」で高さ、幅を同じにしておいて下さい。
大きさは適当ですが
後で文字と組み合わせる為に大き目の円にしておいた方が楽です。
この大きさの円だと、線の幅は4.5pt程度が適当です。
2.文字を入れる
文字を入れるには、少し工夫が必要です。
縦書きのテキストボックスに名前を入れます。
この際、図形の書式設定で設定を変えておきます。
- テキストを図形からはみ出しで表示
- 図形内の余白は全部 0cm
- 段組みで数値を1→2に変更する
ポイントは段組みですね。
段組みの数値を変える事で、文字間を詰める事が出来ます!
上の画像の左側印影の様に、文字と文字、文字と枠がくっつく程度にフォントを上げて下さい。
因みに上の印影の文字は、以下の通りです。
- フォント :HGP行書体
- フォントサイズ:80pt
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3.図形データにする
shiftキーを押しながら、図形と文字を選択して右クリックすると「グループ化」できます。
これをコピーして下さい。
「ペイント」を起動して貼り付けると、余計な背景が付いてしまうので、印影に沿って範囲指定をしてトリミングして下さい。
ペイントの機能で使いずらいのが、範囲指定です。
一度範囲指定してから、範囲を広げようとすると、画像も拡大されてしまうのです。
コツは、300%以上に拡大して、印影を左上に寄せてから範囲指定するとやり易いです。
画像に名前を付けて一旦保存して下さい(形式は.JPEGでも.pngでも構いません)。
4.透過画像の印影を作成する
EXCELを起動し、新規文書を作成。
保存しておいた印影を読み込んで(挿入>画像)貼り付けます。
ここから背景を切り取らなければ印影として使えません。
一般的には、ここでフリーソフトを使って透過画像にするのですが、冒頭に書いた通り、今回はフリーソフトを使いません。
左上に「背景の削除」と言うボタンが出ているので、それをクリック。
いきなりピンクの画像に変わるので、ちょっとビックリ(笑)
このピンクの部分(文字は黒い部分)が削除されます。
選択範囲を目いっぱい拡げても、削除される部分が残ってしまうのと、一か所だけ白くなっているのが、削除されない(透過されない)部分なので、ここを修正します。
白い部分(透過させたい部分)は、「削除する領域としてマーク」を押してからポチっとします。
黒い文字の部分は、「保持する領域としてマーク」を押してからポチっとします。
「変更を保持」を押すと、透過画像の出来上がりです!
最後に書式設定から、実際の印鑑と同じサイズに微調整して下さいね。
実際の印鑑を取り込む
実際の印鑑を印影として取り込む方法です。
本物の印影なので、取り扱いには十分気を付けて下さいね。
間違っても実印などは、この方法では使用を避けた方が良いでしょう。
1.スキャナーで印影を取り込む
白い紙に印鑑を押して、スキャナーで読み込んでください。
最近のスマホは解像度も高く、綺麗に撮影もできますが、どうしても歪んだりスキャナーより粗くなりますので、スマホでの撮影はおすすめしません。
2.ペイントで印影を切り取り
スキャナーで読み込んだ際、白い紙の部分も画像として保存されています。
なので、加工しやすくする為に一度「ペイント」で余計な部分をトリミングします。
一般的な複合機プリンターのスキャン設定では、解像度が300dpiになっていますので、直径1cmの印鑑であれば124ピクセル程度になるはずです。
範囲を選択したら、コピー、又は切り取って、「ペイント」の新規作成で貼り付けて下さい。
一旦、名前を付けて保存します。
後の手順は、EXCELの図形とテキストで作る方法(手順4)と同じです。
ここまで2種類の作成手順を書きましたが
まだ両方ともEXCEL上の添付画像のままです。
まだ電子印鑑としては使えません。
EXCELで作成した電子印鑑の使い方
作成した文書は、後から勝手に修正されない様にPDFにしてから提出したりしますよね?
なので、PDF文書に押印する前提で書いていきます。
間違ってもEXCEL文書に印影を貼り付けてからPDF化してはいけませんよ?
PDF編集のできるソフトがあれば、電子印鑑の削除もできてしまうからです。
そこで登場するのが「電子署名」です。
電子署名付きの印鑑で押印をすれば、改ざんも防げるし、セキュリティも大幅に向上します。
でも、電子署名を使うとなるとお金が掛かりそうですが、「Adobe Acrobat Reader」さえあれば、無料でできちゃうんです!
それが、Adobe の「Self-Sign ID」という電子署名の機能です。
さすが世界のAdobeですね!
では、手順を書いていきますね。
STEP1 印影をPDFで保存
実は、Adobe Acrobat Readerに電子印鑑を取り込むのですが、PDF形式でないと取り込めない為、EXCELで作った印鑑をPDF形式で保存しておきます。
ファイルの種類でPDFを選択するだけです。
保存した場所は忘れないでくださいね。
保存するとAcrobat Readerが立ち上がって、PDF化された印影が確認できます。
もちろん透過画像として認識されていますので、トリミングの必要もありません。
電子印鑑をEXCELで作る理由のひとつが、PDFで保存できる事なのです。
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STEP2 電子署名付きの印鑑を作成する
ここから画像が多いので、少し長くなりますが、難しくはありませんよ!
1.デジタルID(Adobe Self-Sign ID)を取得する
何でも良いので、PDF文書を「Adobe Acrobat Reader」で開き、ツールから「証明書」を選択します。
テスト用のPDFであれば、文書中のどこでも良いので、押印する場所を選択します。
マウスをクリックして範囲指定、マウスを離すと次の画面に切り替わります。
場所を指定すると、「デジタルIDで署名」と言うウィンドウが出るので、「新しいデジタルIDを設定」を押します。
次回以降、本番で電子押印する時は、ここに表示されたデジタルIDを選択したら完了となります。
「新しいデジタルIDの作成」 を選択して「続行」
「ファイルに保存」を押し「続行」
名前、会社名、メールアドレスなどを入力して「続行」
名前とメールアドレスのみ必須となっています。
デジタルIDにパスワードを掛けます。
半角英小文字、半角英大文字、数字、特殊記号などを組み合わせて、最低でも8文字以上のパスワードにしましょう(最近はこれが一般的)
このパスワードを忘れてしまうと、作ったデジタルIDが使えなくなりますので、絶対に忘れない様にして下さい。
これで電子署名(デジタルID)が作成されました。
2.デジタルIDを印影で表示させる
このままだと、Adobe標準の野暮ったい電子署名が文書に表示されてしまうので、電子署名を印鑑で表示させる様に設定を変えます。
1で作成したデジタルIDを選択して「続行」を押すと、次の画面になります。
右上の「作成」を押して設定画面に進みます。
「画像」を選択し
「参照」で印影ファイル(PDF形式のみ)を選択。
「含めるテキスト」の✅は全て外します。
「プリセット名」には、印影の名前を入れて下さい。
「保存」を押したら完成です!
再度PDF文書を開き、電子押印の部分をクリックすると電子署名の状況が表示されます。
これなら見た目もスッキリだし、勝手に変更される心配もないので安心ですね!
ひとつ注意点があります。
それは、電子押印する際の「範囲指定」です。
電子押印の都度、押印する場所を範囲指定するのですが、範囲指定の大きさに合わせて印影の大きさも変わってしまいます。
電子押印するたびに、印影の大きさが違っていたらおかしいですから、範囲指定だけは十分気を付けて下さいね。
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電子印鑑はEXCELでかんたん!まとめ
電子印鑑を手持ちのソフトで簡単、かつ安心してに作るには、EXCELとペイントがあれば充分です。
EXCELの図形とテキストで印影を作っても良し、実際の印影をスキャナーで読み込んでも良しです。
EXCELの「背景の削除」機能を使えば、とっても簡単に印影の透過画像が作成できるので、難しく怪しいフリーソフトを使う必要はありません。
作成した電子印鑑はPDF文書に押印しますが、Adobeの「Self-Sign ID」を利用すれば、無料で署名付の電子印鑑が作れます。
EXCELで印影を作る際に、3Dアートの文字を使えば、一風変わったオリジナルの電子印鑑も作成できますので、色々試してみると面白いですよ^^
電子押印する為には、Acrobat Readerの活用を考慮して、PDF化が可能なEXCELでのやり方をご紹介しましたが、私がいつも使っている安心、安全、簡単な画像編集ソフトを別記事でご紹介していますので、ご参考になれば^^
イチオシ!画像編集ソフトは無料で簡単なコレ!こんな時はこれを使うべし!
画像編集には様々なソフトがありますが、機能が豊富過ぎたり、使い勝手が悪いものもあります。 それに有料版の高いソフトを使っ ...
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