大坂なおみ選手がグランドスラム大会で2連勝して、グランドスラム制覇の可能性がささやかれていますが、大坂なおみ選手がグランドスラムを達成するには未だ高い壁があります。 2019年、全仏オープン、ウィンブルドンと期待がかかりますが、果たして達成できるのか? それぞれのコートでの優勝の可能性を考えてみました。
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目次
大坂なおみ選手のプレースタイル
大坂なおみ選手の最大の武器
それは恵まれた体格から繰り出されるパワー全快のショットですよね?
サービス、フォアハンド、バックハンドとも一振りでエースが狙える強力な武器である事は言うまでもありません。
このサービスを武器に相手の体勢を崩し、ストロークで圧倒するのが彼女のプレースタイルです。
以前ほどのサービス依存は薄れましたが、本人も「サービスが入れば勝てる」と言っていた様にサーブの調子がいい時はほんと強いです。
逆に、大坂なおみ選手のウィークポイントを挙げるとしたら、何を思い浮かべますか?
私は別の記事でも何回か書いてますが、不器用さに起因した攻撃パターンのバリエーションの少なさだと思います。
数年前の大坂なおみ選手は、一発はあったけど、もっさりと動作も遅く、苦し紛れに使う中ロブ(山なりのボール)から攻め込まれて負けるパターンが良くありました。
ストローク中心で良い球は打つけど、相手に先に仕掛けられ追い込まれてミスをするパターンも多かったですね。
見ていて「単調だな・・・」と、思ってました。
さんざん別記事で書いてきましたが、昨年のUSオープンあたりまで一度もドロップショットを見たことがなかったので、余計にそう感じてたんだと思います。
昨シーズン終盤から時々使う様になったドロップショットは、まだまだ正確さに欠けて逆襲されてしまう事もありましたね。
ボレーにしても、あれだけ強烈なサービスを打てるのに、8割方ドライブボレーを多用してます。
ドライブボレーの方がスピードは出ますが、コントロールは難しいですし振りが大きいので余裕のある時しか打てません。
コンパクトなスイングで、コントロール重視のボレーが打てたら・・・と常々思って観ています。
この辺のポイントを念頭において、全仏オープン、ウィンブルドンでの大坂なおみ選手の優勝できる可能性を考えてみます。
グランドスラムについてご存じない方は、別記事で説明してますので参考にして下さい。
⇒大坂なおみグランドスラム大会連覇で次の目標はセリーナも成し得なかったグランドスラム?
全仏オープンで優勝する可能性
クレーコートの特徴
全仏オープンは、赤レンガを砕いて敷き詰めた「レッド・クレー」と言われる「土」のコートです。
ボールが着地後、柔らかい土にスピードが吸収され、バウンドする高さはハードコートより低いです。
表面が滑る(摩擦係数が小さい)ため、スライス(逆回転)のボールはかなり滑ってくるので対応がより難しいですね。
※湿度やコートの整備状況によって変わります。
有利なプレースタイル
キメの細かいレッド・クレーをローラーで固めているとは言え、滑るので踏ん張りが利きません。
ハード・コートでは、打点に向かい足の位置を固定して、踏ん張った力をボールに乗せて早い球を打つことができますが、クレーコートでは足を土の上で滑らせながら打つ事もあります。
つまりテニスボールを打つための足の使い方が異なるので、ハードコートを得意とする選手は苦手意識を持つ事が多いです。
逆にクレーコートで育ち、クレーコートに特化した「クレーコーター」と呼ばれる「土」のスペシャリストがいるのです。
コートの隅から隅まで走りボールを拾い、トップスピンで徹底的に繋いでラリー戦に持ち込むプレースタイルです。
ラファエル・ナダル選手がその代表格ですが、ワイルドカード(推薦者枠)で入ってきた地元選手にもクレーコーターが多いです。
全仏オープンで波乱が多いのは、こういう選手が大物食いするからなんです。
あのロジャー・フェデラー選手でさえ、グランドスラム大会20勝の内、全仏オープンは1回しか優勝してないのですから、その難しさが分かりますよね。
対戦相手以外の敵
第一に挙げられるのが「イレギュラー」です。
土のコートですからどうしても足を滑らす事によって表面が削れてしまいます。
そこにボールが乗ったらイレギュラーします(予想外の方向にボールが跳ねる)
重要なポイントでイレギュラーしたら、はっきり言ってメンタル持っていかれてしまいます。
それに耐えられるメンタルがとても重要となります。
第二は「観客」ですね。
テニスは紳士淑女のスポーツと言われますが、全仏オープンは熱いです!
特に地元選手への応援、地元選手と対戦する選手へのブーイングは尋常じゃありません。
メンタル弱い選手は、これで意気消沈してしまう事もあるそうです。
大坂なおみ選手が全仏で優勝する確率
某テレビ番組に出演していた元テニスプレイヤーの沢松奈央子さんが「全仏30パーセント」と大坂なおみ選手の優勝の確率を予想されてましたが、私も同感です。
大坂なおみ選手のスピード&パワーが柔らかい土で吸収されてしまうのでラリー中心の戦いになります。
ラリーが続くという事は、ラリーの中でどう相手を崩すか?がポイントになってきます。
そこで重要になってくるのがドロップショットとバックハンド・スライスです。
前述しましたが、ドロップショットへの対処はずいぶん良くなりましたが、自らドロップショットを打つのはまだまだ確率が低いです。
それに加えスライスの対処が必須になります。
クレーコートが得意な選手はどんなにコートの外に出されても、土に慣れたフットワークで追いつき、体勢を戻すため時間が稼げるスライスでの返球を多用してきます。
大坂なおみ選手自身、スライスの対処が苦手と語っていましたので、イライラせずにチャンスボールが来るまで耐える事ができれば勝率は上がって来ると思います。
大坂なおみ選手が優勝する為には、やっぱりドロップショットの精度を上げる事と、追い込まれた時のスライスでの返球
この二つが克服できれば優勝も見えて来ます!
現段階では、全仏優勝の確率は30パーセント
もう少し時間が必要ですね。
ウィンブルドンで優勝する可能性
芝(グラス)コートの特徴
以前は全豪オープンも芝のコートでしたが、1988年にハードコートに変更した為、四大大会ではウィンブルドンだけが芝のコートを採用しています。
ペレニアルライグラスと言う品種の芝で、芝生の葉は短く密度が高いのが特徴の芝生です。
自宅の庭に植えた事がありますが、東京より西の温暖な地域では管理がとても難しい品種です(自宅の庭は見事に失敗)
芝のコートはとにかく滑る
ボールも人も滑るんですw
ITF(国際テニス連盟)が発表しているコートの規格でもCPR(コート・ペース・レイティング)値でも、最も早い「CPR1」に分類されています(クレーコートはCPR5)
当然CPR1の芝生のコートでは、ボールのバウンドが低くなりますので、プレイヤーはより早く、より腰を落として低く構える必要があります。
また、芝生のコートでは試合の経過とともに芝生が削れてくるので、イレギュラーもかなりあります。
この辺は錦織圭選手も過去のインタビューで言ってましたね。
滑るがゆえに、毎年試合中の怪我人も多く出る過酷な大会
それがウィンブルドンなんです。
有利なプレースタイル
最高に滑るコートだから有利なのはボールがバウンドする前に決定打を打てる選手と言う事になります。
つまり「サービス&ボレー」が得意な選手に有利な大会です。
全仏オープンで11回の最多優勝を誇るラファエル・ナダル選手ですが、フェデラー選手とは逆にウィンブルドンでは2回しか優勝していません。
クレーコートのスペシャリストがウィンブルドンでの勝率は低い、この事はプレースタイルがコートの種類によって優勝する確率に大きく影響している事を意味しますね。
ベースラインの後ろまで下がって、どんなボールが来ても拾いまくる。
クレーコートではそれが強みになりますが、バウンドした後のボールが早い芝生のコートでは逆に弱みになってしまうんです。
どうしても優勝したかったナダル選手がとった策、それがサービス&ボレーでの奇襲だったのです。
大坂なおみ選手がウィンブルドンで優勝する確率
先ほどの沢松奈央子さんが「全仏30パーセント」と予想したのに対し、「ウィンブルドンは70パーセント」と仰ってました。
元テニスプレイヤーの沢松さんの予想ではありますが、私はウィンブルドンも30パーセントと思ってます。
なぜなら、大坂なおみ選手はビッグサーバーであっても、基本的にベースライン・プレイヤーだからです。
それに、芝生のコートはクレーコート以上に滑るので、よりバウンドの低いボールの対処を強いられます。
これは大坂なおみ選手が苦手とするところです。
全豪オープンでの高い打点からのハードヒットは鳥肌が立つほど印象的でしたが、芝生のコートではよほどのチャンスボールでない限り見る機会は減るでしょう。
特にセカンド・サーブを一歩前に出て、高い打点でリターンする超攻撃型なプレーは見る事ができないかもしれません。
こうなると大坂なおみ選手のゲームの組み立てが限られてきてしまうので、攻めあぐむ、イレギュラーでイラつく・・・
私の中では、大坂なおみ選手がウィンブルドンで優勝できるイメージがわきません。
なので優勝できる確率は30パーセント程度と見ています。
「現段階では」ですが。
大坂なおみ選手がグランドスラム達成するには
大坂なおみ選手がグランドスラムを達成する為には、クレーコートと芝生のコートを克服しなければなりません。
クレーコートではパワーショット以外で相手を揺さぶる事
つまり、ドロップショットとバックハンド・スライスの精度を高める必要があると感じてます。
ウィンブルドンでは、ナダルがそうした様にサービス&ボレーを磨くべきです。
滑るしイレギュラーもするコートで勝つには、バウンドする前に打つのが一番てっとり早いのです。
大坂なおみ選手ほどのビッグサーバーなら、サービス&ボレーを覚えたら芝生のコートの勝率は相当高くなります。
なのでコンパクトなボレーを身に付ける事ができるか?が、ウィンブルドンでの優勝のカギになるでしょう。
その為に、やっぱりダブルスへの参戦
これが今の大坂なおみ選手には必要と思うのですが・・・
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大坂なおみ選手グランドスラム達成の可能性まとめ
大坂なおみ選手がグランドスラムを達成するためには、苦手なクレーコート、芝生のコートを克服する必要があります。
クレーコートではドロップショットやバックハンド・スライスの精度向上
芝生のコートではサービス&ボレーの習得
これらが克服できていない現在では、全仏オープンもウィンブルドンも優勝できる確率は30パーセント程度と思われます。
まだ21歳の大坂なおみ選手
無限の可能性と、高い順応性がある事を全豪オープン決勝で垣間見る事ができました。
今年は難しいと思いますが
近い将来、必ずグランドスラムを達成した初めての日本人となると見込んでます!
大坂なおみ選手の試合予定はこちらでまとめてます。
⇒大坂なおみ2019年次の試合はいつ?試合結果とコメント、ランキング推移を随時更新