
母から炊飯器の時計がズレるので購入店へ持って行って電池交換をしてきて欲しいと頼まれました。 デジタルの時計がずれる? 不思議に思い色々調べたところ、やはり母の勘違いである事が判明! 電池交換くらい自分でできる!とやってしまっていたら、もっと痛い目にあっていたかも知れません。 炊飯器などのデジタル時計がズレる原因と対処についてまとめました。
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目次
炊飯器の時計がずれる原因

購入して数年しか経っていない炊飯器ですが、母の言う通り時刻が大幅にずれていました。
ですが、デジタル時計でそんなに時刻がズレるって・・・
専門家ではありませんが、明らかにおかしい事は分かりました。
疑問に思ったら、即ネットで調べる!
と言う事で、調べた結果をまとめました。
機械式時計がズレる原因

まず、機械式時計と言えば・・・
小さな歯車が幾つも重なった精密な時計を思い浮かべますよね?
動力は「ぜんまいバネ」など
歯車の大きさや間隔で、バネが戻る力を微妙に制御して時を刻んでいます。
これはこれで味があって良いですよね。
でも、バネが戻る力って、最初から最後まで一定ではありませんので、どうしてもズレは出てきます。
それに、長年使っている時計なら歯車が摩耗したり、潤滑油が切れる事でも誤差が生じます。
この誤差が次第に増えて時間のズレに繋がります。
金属製の歯車であれば、磁気の影響も多分に受ける事となりますね。
とは言え、機械式時計でも1日の誤差は数十秒と言うから、大したものです。
まぁ、炊飯器の時計は機械式のはずもありませんから、この辺にしておきます(笑)
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クォーツ式時計がズレる原因

1969年のクォーツショック以来、時計はクォーツ式が主流になりましたが、長針短針を動かすアナログ式と液晶に時刻を表示するデジタル式に分かれます。
炊飯器の時計は、このクォーツ式デジタル時計ですね。
クォーツ式アナログ時計の原理

水晶(クォーツ)は、電圧を加えると 32,768Hz(1秒間に3万2768回)という非常に細かい振動をします。
この振動を電子回路で1秒間に1回と言う電気信号に変えているんです(分周)。
アナログ式であれば、この電気信号を「ステップモーター」と言う部品で時計の歯車を動かしているんですね。

真ん中にある銀色のパーツ、これが「水晶発振子」です(自宅の古い時計を分解して撮影しました)
①水晶発振子の中の水晶(クォーツ)が振動してパルスを発生させる
↓
②水晶発振子のパルスをカウントして、1秒ごとの電気信号に変える
↓
③電気信号がステップモーター(写真後ろのコイル状のパーツ)に伝わり、歯車を動かす
大体こんな仕組みになっています。
クォーツ式アナログ時計がズレる原因
クォーツ式アナログ時計の場合は、水晶発振子と言う精密に時を刻む原理を利用していますが、電池の力で歯車や針を動かしています。
この事から、クォーツ式アナログ時計がズレる原因としては、以下の事が考えられます。
1.電池の消耗
電池が消耗すれば、重たい歯車や長針短針を動かす電力が弱まりますので、次第に誤差が大きくなっていきます。 これが時間のズレに繋がってしまうのです。 この場合は、電池を交換すれば正しく時を刻んでくれます。
2.部品の摩耗
歯車など機械的な部品は、長年使っていると摩耗してきます。 歯車が摩耗したり変形したら、時間が狂うのは想像できますよね? こうなったら時計店で修理するしかないです。
3.潤滑油
歯車などの部品の摩耗を防ぐために、潤滑油の類を使っている場合、潤滑油が切れている可能性があります。 この潤滑油が切れた事によって、歯車などの部品が円滑に動けなくなり、時間がズレる事に繋がってしまいます。
4.磁気の影響
強い磁気を発する機器、電子レンジやテレビなどの近くに時計がある場合、その磁気の影響を受ける事があります。 安価な時計などはプラスチックの歯車を使っていたりしますが、ステップモーターなど金属の部品も必ずあります。 これが強い磁気の影響で動作が狂えば、時間のズレに繋がります。
5.電波時計なら
電波で時間補正を行っている時計の場合、電波の受信状況によってはきちんと補正できない場合があります。 鉄筋のマンションや地下など電波が届かない場所だと、折角の電波時計の補正機能が使えず、普通のクォーツ式アナログ時計と同じ原因で時間がズレる可能性があります。
大切な時計なら、数年に1度はオーバーホールしておいた方が良いと言う事ですね。
クォーツ式デジタル時計がズレる原因

やっと本題です(笑)
デジタル時計であれば、電気信号を使って時間を計算し、液晶に表示するだけなので、機械的な部品はほぼありません(ICチップなどの基盤はありますが)。
水晶以外にも電圧を掛けると振動を発する物質があり、水晶発振子の代わりにセラミック発振子使う事も多い様です。
セラミック発振子の方が安価(差は数十円程度)ですが、精度は水晶に比べると落ちるとの事です。
炊飯器などについている発振子は、どうやらこのセラミック発振子の様です。
このセラミック発振子ですが、セイコーエプソンの技術情報に特性が載っていました。
セラミック発振器の発振周波数は、おおよそ200kHz~100MHzで、常温での周波数偏差は一般に0.1%~0.5%程度と言われております。 低価格は利点ですが、温度変化に対する発振周波数の変動が大きく、総合的な周波数安定度は±1.1%程度と低精度です。 (セイコーエプソン:「水晶、Si、セラミック、LC 材料の持つ特性と特徴」)
温度による影響が大きい・・・
元々セラミック発振子は、水晶発振子より精度がかなり落ちますが、環境(温度)によって更に精度が落ちると言う事みたいです。
水晶発振子を使ったデジタル時計の取り扱い説明書にも、「温度が5℃~35℃の時、平均月差±30秒」と書かれていましたので、セラミック発振子を使った炊飯器では、それ以上のズレが生じても不思議ではないんですね(むしろ当たり前)。
クォーツ式デジタル時計は、単純に電池が消耗すれば時間が狂うのではなく、時間の表示自体が薄くなり、次第に表示されなくなりますから、時間のズレは電池の消耗が原因ではないと言う結論に達しました。
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炊飯器の時計がズレた時の対処
取り扱い説明書に従い時刻を直す
え?と思うかも知れませんが、炊飯器などの時計には電波時計の様な補正機能はありませんし、そもそもズレた原因は電池の消耗ではなく、セラミック発振子の精度の問題になります。
従って、取り敢えずの対処方法としては、取り扱い説明書を見て自分で時間を修正するしかありません。
炊飯器のコンセントを差した状態で時間が狂うか?確認してみて下さい。
炊飯器などの時計は、コンセントに差さっていれば電力はコンセントから供給されるので、電池の消耗が原因でない事は容易に判別できますね。
購入店に持って行って修理する?
頻繁に(又は大幅に)時間がズレるようなら、セラミック発振子の精度が大幅に落ちてしまった(壊れた)可能性があります。
セラミック発振子のパルスを分周して時間計算を行うICチップなどが壊れた可能性もあります。
この場合は、購入店に持って行って修理となりますが、セラミック発振子ではなく基板交換の修理となりますので、非常に高額になってしまいます。
大手家電メーカーの修理料金(液晶表示されない場合で確認)を調べた所、3万円と書かれていましたので買い替えた方が安い場合もありますね(笑)
絶対にしてはいけない事

炊飯器の電池交換を自分で行う人が多い様ですが、これは電池の消耗で液晶の時間表示が薄くなっていたり表示されない場合に限ります。
時間がズレたからと言って、調査結果からすると電池交換は無意味ですよね。
そもそも、炊飯器本体にも書かれていますが、炊飯器内部には高電圧部分があるので、素人が触っては危険です。
間違って電池を自力で交換してしまい、きちんと固定しなかったら故障、最悪発火にもなりかねません。

画像:amazon
それに、コンビニなどで売っているボタン電池と同じ型番が入っていたとしても、「タブ」と呼ばれる基板に取り付ける為の足がついたものなので、簡単に取り換える事はできません。
タブはボタン電池に溶接されているので、簡単には取れません!(はんだ付けではありません・・・)
リチウム電池は加熱される事で破裂する危険もありますから、絶対に素人がやってはいけない事なんですね。
高額の修理費用は痛いですが、自分で修理は絶対避けた方が良いですよ。
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炊飯器の時計がずれる原因と対処まとめ
炊飯器などについているクォーツ式デジタル時計がズレる原因は、電池の消耗ではありません。
電子基板に付いているパーツ(セラミック発振子)の精度の問題です。
従って、新品の炊飯器であっても正確な1秒を刻むのは難しく、最初から多少のズレは生じるものと思って下さい。
あまり頻繁に、又は大幅に時間がズレる様なら、高温によりセラミック発振子の精度が落ちた(壊れた)可能性がありますので、メーカー修理(基板自体の交換)が必要になると思われます。
メーカーでの基板交換修理は、保証期間外だと数万円と高額になりますので、買い替えた方が安い場合もあります。
修理が高額だとしても、絶対に自分で修理はしない様にしましょう!